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新司法試験合格発表に思う [弁護士・法律・裁判]

9月11日に今年度の新司法試験の合格者が発表されました。

発表前は、今年の合格者の目安は2100~2500人とされていたのですが、いざ発表されてみると、その最低数にも及ばない2065名の合格者数でした。合格率も、前年を7ポイント下回る33%となりました。

法科大学院開設時の構想では、法科大学院修了者の70~80%が合格する制度をになるはずだったのですが、実際には当初想定の半分以下の合格率にとどまっています。

この事実は、法律実務家を養成する能力の無い法科大学院が増えて、当初予想した以上の法科大学院修了者が出たことも合格率低下の一因でしょうが、今年度想定していた合格者数の最低数を下回る数の合格者しかいなかったということは、定員で足切りするまでもなく合格レベルに達しない受験生がいたということです。

弁護士会は、司法試験の合格者急増によって法曹としての能力に欠ける人材が試験に受かってしまうことを懸念していますが、想定した合格者数に達しないということは、少なくとも法科大学院の卒業生レベルでは、当初構想したような優秀な修了者が大勢輩出されるという事態になっていないことを裏付けているといえます。

政府の構想では、2年後には合格者数を3000人にするということでしたが、本年度と同じ難度の司法試験を実施した場合に、今年度を大きく上回る合格者が出ることは想定しにくいのですから、試験のレベルを下げない限り3000人の合格者を出すことはできないと言うべきでしょう。

それにもかかわらず、3000人の目標を堅持しようとするならば、試験をより易しくして質の明らかに劣る法律家を社会に送り出すしか方法はありません。

司法試験の合格者数急増に慎重な姿勢を示している弁護士会の考えに対して、自分たちの職域維持のためと批判されることがありますが、質の劣る弁護士が多数実務の現場に出たときに、その被害を被るのは一般の国民だということを忘れてはいけません。

質の悪い弁護士は淘汰されるから良いではないかということを言う人もいますが、一般の国民にとって弁護士に仕事を依頼するのは一生に1、2度しかないと思われます。その最初の機会に質の劣る弁護士に当たってしまえば、その次の機会はほとんどないのですから、淘汰のしようも無いのです。

政府は、ともすれば、統計的な数字を元に議論しがちで、この合格者数の問題も諸外国との弁護士数の比較で議論されることが多いのですが、実際の紛争の現場にいる当事者にとっては、最低限の質の確保は切実な問題です。

食の安全の問題が叫ばれていますが、法的サービスの質の安全も、利用者にとって重要な問題であり、政府はこの面でも責任ある対応をする必要があるということに気づいていただきたいものです。
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