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為替デリバティブの恐怖-その実態と対策(3) [企業経営・経済]

為替デリバティブは、本来外国との貿易の際に外貨決済を必要とする事業者が、為替リスクを回避するために開発された金融派生商品です。したがって、その商品を販売する相手は、このような為替リスクを負う恐れのある事業者ということになりますが、現在問題となっている為替デリバティブ契約の中には、かなりの割合でこのような実際の必要性がない事業者が契約している事案があります。

金融機関は、直接外国と貿易していなくても、外国産の原材料などを使用して事業を営んでいるのであれば、為替が円安になれば、それだけ仕入れる原材料の価格が上昇して損失を被るおそれがあるので、その損失をカバーするために為替デリバティブ取引を行うことは為替リスクの回避に繋がるという理屈で顧客企業に売り込んだのです。しかし、直接貿易していないのであれば、為替リスクを負うのは海外から直接仕入れる中間の業者であり、その中間業者からどのような価格で購入するかは国内取引における様々な要素で決まることですから、為替リスクを直接負担するものではありません。銀行の説明は、詭弁と言っても良いような不合理なものでした。

為替デリバティブの契約をしてしまった顧客企業の多くは、相手の金融機関が自社のメインバンクであったり、事業資金の融資を受けていたりする関係で、断わりにくい立場にありました。それに加えて、良く分からないけど為替リスクを回避することができ、手数料も無しということであれば、今後の取引の関係もあるので、お付き合いで契約しても良いだろうという考えで契約しています。契約の際渡される説明書面には、顧客企業がリスクを追う可能性があると書いてはありますが、金融機関の担当者はそのリスクの大きさについての説明はしませんから、顧客企業はリスク回避のことしか考えずに契約してしまっているのです。しかし、現在現実化している損失の甚大さを考えるならば、お付き合い程度の意識で契約できるようなものでないことは明らかです。

平成19年10月1日に施行された「金融商品取引法」では、「当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定める」一定の金融商品取引契約について「締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為」(不招請勧誘)は禁止されています(金商法38条3号)。そして、同年4月13日に公表された金融商品取引法施行令案では、不招請勧誘を禁止する取引として「政令で定めるもの」のなかに、店頭デリバティブ取引としての「通貨の売買等に関するオプション取引」が明記されているのです。(金融商品取引法施行令案16条の4第1項)

つまり、現在問題になっている為替デリバティブ契約については、平成19年10月1日以降は、契約をする気のない事業者に対して金融機関の方から勧誘してはいけないと法律で禁止されているのです。それほど危険な取引について、十分な説明をしないで契約させた金融機関の責任は重いといわざるを得ないでしょう。

次回は、為替デリバティブ取引によって発生した損害の回復について取り上げます。

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