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「弁護士業界」勝手に解説-弁護士の不祥事と懲戒 [「弁護士業界」勝手に解説]

今日は残念な内容のことを書いてみることにします。

札幌弁護士会に所属していた元弁護士が業務上横領で起訴されたということが報道されました。元弁護士とされているのは、この弁護士が既に弁護士資格を失っているからです。

札幌弁護士会では、この元弁護士の横領の事実を彼が自首した昨年の夏ごろの時点で把握しており、弁護士会として懲戒請求をしていました。そして、通常、懲戒請求をされると、弁護士は所属している弁護士会から退会することができません。弁護士会の懲戒権が所属弁護士にしか及ばないため、退会されてしまうと懲戒手続が続けられなくなるからです。

そのため、懲戒手続とは関係ない引っ越しなどの理由で他の弁護士会に登録替えしようと思っていても、懲戒請求を受けてしまうと、その懲戒手続が終わるまで登録替えが認められないので、弁護士にとっては非常に困ったことになってしまいます。

「弁護士が懲戒請求を受けるのは、『何か不正を行ったから』なのだから仕方ないではないか。」と思われるかもしれませんが、懲戒請求の中には、事件を有利に進めるために相手方弁護士に対する嫌がらせ目的で行われるものもありますし、事件の結論が自分の思い通りにならなかったことに対して、不満のぶつけ先として依頼していた弁護士が犠牲になることもあります。

弁護士は他人の紛争に関わる職業であるため、ある程度経験を積む中で恨みを買うこともありますので、中堅以上になれば、懲戒請求を受けたことがないという弁護士の方が少ないくらいでしょう。

●懲戒請求の手続き
懲戒請求を受けると、弁護士会の方では慎重に審査を行います。
手続としては、綱紀委員会という委員会で審査をして、懲戒相当か不相当かの結論を出した後、懲戒相当であれば懲戒委員会で事件を再審査して、懲戒にするか否かと懲戒の程度について議決するのです。

その手続は、到底通りそうもない懲戒請求の場合でも同様で、綱紀委員会で懲戒不相当の結論が出たときには、申立人は日弁連に不服申し立てをすることができ、日弁連の綱紀委員会が懲戒不相当とすると、これに対して綱紀審査会に綱紀審査の申立をすることができることになるので、懲戒請求をされてからこれらの手続が全て終わるまでは、弁護士は退会することができないのが原則なのです。

●今回の事件の元弁護士の懲戒手続の結果
冒頭で述べた元弁護士に対する弁護士会の懲戒手続は結論が出ないまま既に終了しています。
どうしてかというと、この元弁護士が自己破産の申立をして破産宣告を受けたために、自動的に弁護士資格を喪失したからです。

弁護士法7条は「次に掲げる者は、第4条、第5条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。」として以下のとおり規定しています。
 (1) 禁錮以上の刑に処せられた者
 (2) 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者
 (3) 懲戒の処分により、弁護士若しくは外国事務弁護士であって除名され、弁理士であって業務を禁止され、公認会計士であって登録を抹消され、税理士であって業務を禁止され、又は公務員であって免職され、その処分を受けた日から三年を経過しない者
 (4) 成年被後見人又は被保佐人
 (5) 破産者であって復権を得ない者

おそらく、懲戒手続がそのまま進行していれば、「退会命令」という最も重い処分が下されたと思いますが、その前に弁護士資格を失っていたために懲戒処分はされなかったということです。

●もし免責決定を受けたら弁護士に戻れるのか?
前述の弁護士法の規定を見ると、破産者でも「復権」すれば弁護士になれるということになります。通常、破産宣告の後に免責の決定を受けると復権することになるので、その場合に弁護士資格を回復できるということになると思われるかもしれませんが、日本の場合、弁護士会は強制加入団体で、どこかの弁護士会に所属しない限り弁護士業務をすることはできません。

仮に、この元弁護士がどこかの弁護士会に入会申請をしたとしても、よほどのことがない限り入会を認める弁護士会はないと思われますので、彼は復権したとしても弁護士業務をすることはできないということになるでしょう。

=========
弁護士は、職務上他人の財産を預かることも少なくないため、厳しく身を律していなければ、簡単に不正行為ができてしまう立場にあります。また、高度の倫理性を求められる職業である以上、不祥事があったときには一介の弁護士に過ぎないのにマスコミに報道される立場でもあります。

弁護士は自由業と言われることもありますが、ほとんどの弁護士は、司法修習中から弁護士倫理を叩き込まれ、自分の職業がこのような厳しいものであるという自覚のもとで日々仕事をしています。

このような事件が起こると、多くの弁護士が地道に築き上げてきた弁護士に対する信頼はあっという間に揺らいでしまいますが、私たちは揺らいでしまった信頼を取り戻すための努力を続けるしかないのです。


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コメント 3

依頼者

弁護士の立場から見ればそうかもしれませんが、依頼者の立場も考えるべきだと思います。

委任した弁護士に正当な理由で懲戒請求する人も少なくありません。例えば、委任契約書の作成をせずにほぼ無制限に追加費用を払わせるような弁護士がいれば、それは弁護士職務基本規定に反するわけですから、懲戒請求されても仕方がないです。

弁護士全体の信用を回復とか、そんなことを依頼者は期待しません。

当たり前のルールを守って、誠実に、依頼者の立場を考え、職務にあたる姿勢が大事なのではないでしょうか?

逆恨みされる職業だといっても、それは他の職業でも言えることです。そんなことは十分承知した上で弁護士になっているはずです。

自由業の自由という意味は、「好き勝手に」ではなく、「ルールの中で臨機応変に」だと自分は思います。

弁護士の方々には、もっと広い視野をもって、がんばっていただきたいです。
by 依頼者 (2012-08-06 12:26) 

マスダ

依頼者様

コメントありがとうございます。

ただ、私が正当な懲戒請求があることは当然の前提で書いているということは誤解して欲しくありません。
むしろ、最近の方が懲戒に値するような行為をしている弁護士が増えているかもしれないという危惧感も持っています。

ただ、どんなにきちんと仕事をしたとしても、理不尽な懲戒請求をされる場合があることも事実です。今回はその点のみを書いたので、趣旨が十分に伝わらなかったかもしれませんが、ご理解いただけますでしょうか。
by マスダ (2012-08-06 15:41) 

匿名

原発訴訟団の弁護士島田宏は、「国民の常識が司法に生かされ国民の安全と基本的人権が守られる時代の到来を期待しています」 と述べたらしいですが、 本当は島田宏は、「虚偽事由で提訴したり侮辱したりすることは正当な弁護士業務」 と福井弁護士会長のときから胸を張って主張している人物です。
しかも、あろうことか 消費者庁消費者教育員の職におり詐欺撲滅をうたい文句にしてるとか。
どうして平然と国民を欺くことを言えるのでしょうか。 
詐欺の件、疑うのであれば以下の件、本人に確認下さい。

弁護士は虚偽事由で提訴する!
実態は以下のとおり酷い。
 虚偽事由で提訴(訴訟詐欺)することは正当な弁護士業務だと主張する黛千恵子(坪田)・坪田康男・八木宏らは、詐欺罪で告発受理(2014~2015)されていたようですが福井弁護士会は、反省も謝罪もせずに知らぬ振りして何らかの処置もしていないようです。
 それどころか、福井弁護士会は、「虚偽事由で提訴することは正当な弁護士業務だ」と議決して擁護(教唆・幇助)し続けているらしいです。
 被害者は、更なる侮辱や訴訟詐欺にあう事を恐れ恐怖の日々を過ごしているみたいです。
 権力を有した組織的な犯罪が放置される中で正義など通用するはずもなく、おそらくは一人ひとりと食い物にされることになるのでしょう。
人権擁護や正義などは眼中に無いようです。

by 匿名 (2016-05-27 20:38) 

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