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「弁護士業界」勝手に解説-「為替デリバティブ損失とその解決」(1) [「弁護士業界」勝手に解説]

一般の個人の方には関係のない話かもしれませんが、一部の事業者にとっては死活問題になりかねない問題として『為替デリバティブによる損失の問題』があります。

●為替デリパティブの仕組み
この仕組みは、将来の特定の日において、対象となる商品や貨幣を指定した数売り買いすることの予約をするという点において、商品先物取引やFXといわれる外国為替証拠金取引と同様のリスクをはらんでいます。

商品先物取引やFXの場合には、証拠金を積んで、その何倍もの取引をすることが一般的で、このような仕組みを「レバレッジ」(テコのこと)を利用すると言いますが、小さな力で大きなものを動かすテコのように、小さな証拠金でも大きな取引ができるようになります。その結果、うまく行けば投資額を大きく増やすことも可能ですが、損失も投資額の数倍に膨れ上がる恐れがあるのです。

ただ、これらの取引をする人は、そのリスクを承知で取引に参加しているのですから、損をしたとしても自業自得であり、その損害を誰かに賠償してもらうということにはならないというのが基本です。(取引の過程で、詐欺的な勧誘や不必要な売買をさせられたなどの違法な行為を事業者が行った場合には損害賠償請求ができる可能性もありますが…。)

●なぜ、為替デリバティブ取引で困ったことになるのか?
それでは、為替デリバティブがどうして弁護士が関与して解決する事案になるのかというと、そもそもこの取引がリスクを取って為替変動で儲けることを想定した取引ではないからです。

リスクを取る取引でもないのに、どうしてそういう想定外の損失が生じるのかという理由の一つは、本来為替変動リスクを負っている事業者に勧めるべき商品であるのに、そのような事業者の範囲を超えて取引に勧誘していたということがあります。

また、この取引の相手方も、商品先物やFXの取引業者のように、リスク承知でしかお付き合いしないような相手ではなく、自社の事業資金を融資してくれ、それ以外にも様々な面でサポートしてくれる銀行です。銀行から頼まれたらなかなか嫌とはいえず、安全な取引ですと言われればお付き合いで契約しようかという気になってしまうのです。

為替デリバティブを巡る問題は、現在のような超円高にならなければ顕在化しなかったかもしれず、その意味では銀行も為替変動に巻き込まれてあらぬ批判を浴びているということはあるかもしれません。

しかし、この取引においては、銀行は証券会社のように取引市場で売り買いされている商品を仲介しているのではなく、自らが顧客の相手方として契約しているので、顧客の損失はそのまま銀行の利益になるという関係にあるので、超円高によって銀行は想定外の多額の利益を手にしたということになっているのです。(銀行も、この取引で損失を被らないようにするため、為替市場かで外貨取引をしているので、顧客の損失がまるまる銀行の利益になる訳ではありませんが、為替相場変動のタイミングを見て外貨取引ができるので、そのリスクは顧客の負うリスクとは比較にならないほど小さなものです。)

:マスダのちょっぴり解説:
デリバティブの元々の意味は「派生したもの」ということで、債券売買、外国為替、株式売買等の金融取引や商品・債権取引の相場変動によるリスクを回避するために開発された伝統的な金融取引から派生した金融商品の総称として、「金融派生商品」と呼ばれているものです。

つまり、デリバティブそのものはリスク回避のための商品なわけで、勧誘するときも「御社のリスク回避のためにこういう商品を購入することをお勧めします。」というセールストークが用いられます。

ところが、リスク回避のための商品の背後に、実は大きなリスクが潜んでいて、しかも顧客の方が圧倒的に大きなリスクを負っているということが分かってきたので、そこに弁護士が関与して救済する必要が生じてきたわけです。

●マスダが関わった相談事例
私が関与したのは、この中でも分かりやすい為替オプションという取引だったのですが、基本的な仕組みを説明すると、将来の特定の日に特定の外貨を指定した金額で購入する権利(この権利のことを「オプション」といいます。)を銀行から購入することによって、その日に円相場が下落していても、オプションで指定した価格で外貨を購入できるので円安リスクを回避できるということを目的として取引に入るのが基本です。

もっと具体的に説明するために、このオプション取引契約をした当時のレートが1ドル100円という相場だったと仮定します。
外国から商品を仕入れて商売している事業者は1ドル100円であればビジネスとして採算が合うので、為替変動の影響できるだけ少なくしたいと考えます。(円高に振れれば、その分為替差益が出るわけですが、本業が好調な事業者であれば、為替で儲けようとは思わず、為替が下振れした時のリスクを回避することを優先して考えます。)

そこで、円安になって、決済日の為替相場が1ドル110円になったとしても、1ドル100円でドルを買える権利を持っていれば円安リスクは回避できるので、その権利を銀行から買う。これがオプションの購入です。そこにはオプション料(権利を買う対価)が発生しますが、為替リスクから比較すれば小さなものです。

ですから、逆に円高になって1ドル90円になれば、オプションを放棄(権利ですから放棄することもできます。)して、オプション料分のマイナスで済むことになります。オプション料は一種の保険料のようなものと捉えれば良いでしょう。

ここまで説明をお読みいただいても、事業者が想定外の不利益を被ることはないように思われるかもしれませんが、勧誘する側にとっては、オプション料があると事業者はなかなか契約に応じてくれないので、その負担を軽減するプランを提示することを考えて、複雑な契約を提案することになりました。

そこに大きなリスクが潜んでいた訳ですが、ここで今回の紙面が尽きました。
そのリスクについては、次回に詳しくご説明いたしますので、興味のある方は期待してお待ちください。

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 詳しくは、マスダの所属する札幌総合法律事務所http://www.sapporo-sogo-lo.com/
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