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「弁護士業界」勝手に解説-「労働事件」(2) [「弁護士業界」勝手に解説]

労働事件の第2回は、これから事件の増加が予想されている残業代などの未払賃金請求についてです。
前回までの記事はこちら
弁護士業界には、これまでも何度か特定の業務が業界全体を潤す受任事件の「トレンド」があったと言われています。

●これまでの受任事件のトレンドは?
最初のトレンドは、私が登録する前のことで、「交通事故」が弁護士の大きな収入源になった時代があったということです。その当時の実態は、私自身もよく分かっていないので深入りはしませんが、「任意保険に示談代行の特約がなかった時代」であれば、交通事故が起きて当事者間で話ができない場合には、被害者側だけでなく加害者側も弁護士を依頼することになり、「1件の交通事故のたびに2人の弁護士が事件を受任することになるので、その需要がかなり大きかった」ということかなと思っています。

次のトレンドが、これまで解説してきた過払バブルです。この類型は、交通事故とは違って、弁護士本人は業務のごく一部に関与すれば足りることから、弁護士の事件処理のスタイルを大きく変容させてしまった感があります。弁護士に登録した時の勤務先がこの手の事件しか扱わないような法律事務所であれば、自分で事件を処理するという習慣すら身に付ける機会が無いので、若手弁護士の弁護士業務に対する意識の変化が起こるのではないかとの危惧感はぬぐえないところがあります。

そして、この過払バブルも一段落しそうになってきていることから、弁護士業界は次のトレンドを見つけようとしている訳です。その背景に、弁護士の大量増加に伴う個々の弁護士の収入低下という問題があることはこれまでも解説してきましたので、ここでは割愛いたします。

●さて、次のトレンドは-労働事件
私は、札幌弁護士会の業務改革推進委員会委員長だった2年間、日弁連の弁護士業務改革委員会にも副委員長として参加していましたが、この委員会では弁護士の新しい業務分野の開拓も議論していました。その中では、地方自治体の業務への関与や交通事故の損害賠償にもう一度力を入れるべきなどといった議論もなされていましたが、近年では残業代や休日出勤手当などの未払い賃金の問題が、これから伸びが期待できる業務分野として注目されるようになっています。

これまでも未払い賃金の問題がなかったわけではないのに、どうして最近になってこの分野に注目が集まるようになったのでしょうか。その理由について、正確な知識を持ち合わせている訳ではないので推測になってしまいますが、一つのきっかけになったのは、いわゆる「名ばかり管理職」の裁判のニュースだったような気がします。

***マスダのちょっぴり解説***
「名ばかり管理職」という呼び方を一般的にしたのは、2008年1月28日の東京地裁判決でした。これは、マクドナルドの店長が、実質的な管理職としての権限を与えられていなかったにもかかわらず、店長という管理職の肩書があるために残業代を支給してもらえず、そのことが不当であるということで争われた裁判ですが、労働基準法第41条が、「この章(第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、第6章(年少者)及び第6章の2(女性)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者(その中に「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」という規定があります。)については適用しない。」と規定していることから、これまでは肩書上管理職とされた労働者は、残業代を受けられないのは当たり前というのが多くの労働者の認識だった訳です。
しかし、従業員に「部長、課長、係長」などの肩書を与え、どの範囲の職制を管理職と呼ぶかは、会社が自由に決めることができます。したがって、労働基準法第41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」と管理職の肩書を持っている従業員は、必ずしもイコールではないということはむしろ当然のことなのですが、この判決によってそれが一般の人の知るところとなりました。


労働法上の管理職であれば、前述のように労働時間等に関する規定が除外されているのですから、いつ休もうが1日に何時間働こうが本人の自由であり、賃金は働いた労働時間にかかわらず定額であるということになるはずですが、これまではそのような意識もなく、会社が「管理職」と呼ぶだけで残業代は払われないと思いこまれていた訳です。

多くの外食産業やコンビニエンスストアその他の小売業界でも同様の実態がありましたので、この判決を機に自主的に未払の残業代などを支払うという流れになってきました。言ってみれば、雇用者側の無条件降伏という事態(とはいっても、計算上支給されるべき全額ではなかったと思いますが…。)になって、労働者側は残業代の未払をほぼ確実に回収できるということになったのです。

そうすると、現実の労働時間の立証と未払い賃金の細かな計算さえできればあとはあまり苦労せずに回収が図れることになりますので、業務としての困難性は少なく、相応の報酬も見込めるということで、そのような実態に目を付けた弁護士やその他の関連士業者が、積極的にこの分野を取り込もうとして宣伝を始め、名ばかり管理職以外の社員の人についても、未払の残業代を請求するようになっているわけです。

残業代の請求は、勤務実態が証明できればかなりの確率で請求が認められます。逆にいうと、雇用者側にとっては、未払の残業代があるということは、それだけの債務を抱えているのと同じということにもなります。

そのような事態が健全な経営といえないことは明らかですから、これを是正することが求められ、そのためには賃金体系の根本的な見直しを行う必要すら出てきます。しかし、賃金体系の見直しをするためには、従業員の理解を得なければなりませんが、その手続きが余りに大変なので多くの経営者は手をこまねいている状態のままです。

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残業代を巡る弁護士側の状況はご理解いただけたと思いますので、次回は、コンサル弁護士らしく雇用者側の対策という点から解説してみたいと思います。

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