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「弁護士業界」勝手に解説-「業際問題」(5・最終回) [「弁護士業界」勝手に解説]

「業際問題」の第5回は、他の士業の人たちも注目している相続事件についてです。

クレジットやサラ金を対象とした債務整理事件が既に下火になってきているということはすでに何度かお伝えしてきているとおりですが、法曹関係者の関心は、債務整理事件が下火になった後の収入源となる事件のトレンドは何かというところに移っています。

知人の司法書士から、多くの事務所が債務整理の宣伝をしなくなったけれども、競争相手が減ったせいか、積極的に宣伝している事務所にはいまだに結構な数の依頼が来ているという話を聞いたこともありますが、グレーゾーン金利の撤廃から年数が経過すれば、必然的に事件は無くなりますので、業務の中心をいかにスムースにシフトさせるかは、事務所経営にとっても大事な視点です。

そこで注目されている事件の一つが相続事件という訳です。

●相続事件はどこまで扱える?
相続事件の分野に進出しているのは行政書士・司法書士に加えて税理士といった士業の人たちですが、これらの士業者は家庭裁判所の代理権を持っている訳ではないので、相続事件の相談を受けることが法的に全く問題ないとも言い切れないのですが、彼らはむしろ積極的に相続事件を扱うようになっています。

司法書士は、被相続人が不動産を所有したまま亡くなった場合の相続登記や遺産分割協議書の作成、事件当事者が本人として家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる際の申立書の作成代行はできますので、それらの業務に関連して一般の方から相談を受けるということは以前から行っていました。

税理士も、相続となると相続税の問題が発生する可能性があるので、相続に関する相談を受けることは日常的にあります。顧問先の企業の関係で事業承継のアドバイスを求められることもあり、そのプロセスに相続が絡むことも少なくありません。

そういう意味で、もともと司法書士や税理士は相続事件となじみがあったわけですが、昨今ではこれまでの相談の枠を超えて、事実上代理人として行動しているのではないかと思しき事例が増えてきています。

例えば、司法書士が遺産分割協議書の作成をすることは良いのですが、ここで認められているのは、関係者が遺産分割の中身について合意したものを書面化するために作成することです。当事者間の遺産分割協議で話が付いていないのに、一方当事者の意向に基づいて遺産分割協議書の形に書面化したものを相手に送りつけて、署名捺印しなければ調停等の法的手続をすることになるという通知をすることは、文書作成の枠を超えて相手方との交渉そのものになりますので、司法書士の職務権限外ということになります。

このような業務は、実は行政書士も参入してきていますが、行政書士の法律事務取扱には司法書士よりもはるかに限定的な権限しか与えられていませんので、行政書士が同様の行為を行った場合にはさらに違法と評価される可能性が高くなります。

税理士に関しては、私自身も、相手方当事者から依頼されたという税理士から、相続税申告のために相続財産の調査に協力して欲しいとの連絡を受けたことがあります。このときには、相続財産確定のために限定して協力はしましたが、それ以上の交渉にわたることに関しては、当該税理士を介しては対応しないと明言したので、その後この税理士は事件から全く手を引いてしまいました。

一方で、合法的に対処できる案件として、司法書士が遺言執行者に就任するような場合があります。実は遺言執行者については、法的に資格制限がある訳ではなく、誰でもなれることになっていて、司法書士に限らず、行政書士や税理士だってなることは可能です。その報酬も、遺言書に定めてあれば合法的に取得することができます。

そのため、インターネットで遺言書に関する検索をしたときに、検索上位に来るのはほとんどが行政書士で、たまに司法書士がヒットするような状況になっています。そんな状況があるので、遺言書の作成は行政書士の業務であって、弁護士はあまり行わないと勘違いしている人もいるほどです。

遺言書作成に関しても、相続人を含めた利害の調整や遺言者の真意を確認した遺言書の作成をするなど、専門的知識を必要とする点も少なくありません。その点は措くとしても、遺言執行にも相続財産の換価を巡るトラブルや遺言執行者自身と相続人とのトラブルなどもあります。相続事件ともなれば、扱う相続財産の額が大きくなることもありますので、信頼のおける法的知識をもった有資格者に委任する方がトラブルを回避できる可能性は高いと思いますが、いかがなものでしょうか。

ちなみに、多くの弁護士は、事件に関して何らかのミスをしたときに賠償できるよう弁護士賠償保険に加入しています。遺言執行者も弁護士の本来業務として受任することになりますので、この保険でカバーされることになります。他の士業がどのような賠償保険に加入しているのかまでは承知していませんが、仮にそれらの士業者が職務に関する賠償保険に入っていたとしても、遺言執行者はその本来業務として受任することになりませんので、おそらく保険の対象にはならないでしょうから、その辺の安全対策も考えておく必要があるのではないかと思っています。

●相続事件の費用
相続事件は、低価格で簡易迅速に対処すべき事件というよりも、被相続人の相続財産という大きな資産を確実に相続人に分配するという点では、ある程度コストがかかっても的確かつ厳正に行われなければなりません。

また、遺言書作成に関する弁護士費用は、相続財産や人間関係の複雑さに応じて金額は変わりますし、事務所によっても基準は異なりますが、私の事務所では、内容が簡明なものであれば5万円から15万円くらい、複雑なものであれば、相続財産の額に応じますが5000万円くらいの遺産総額であればその1%未満の額になります。

その額が高いか安いかは、依頼者の方が判断することではありますが、弁護士に頼むと法外な金額を請求されていると思っている方には、意外な低価格と思われるのではないでしょうか。
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業際問題は、非弁護士取締委員会の前委員長という立場もあって、いろいろと思うところはあるのですが、書きすぎるといろいろとまずいのでこの辺で終了としたいと思います。

次回の「弁護士業界勝手に解説」は、これも弁護士業界が注目している「労働事件」を巡る業界内の動きを解説したいと思います。

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