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「弁護士業界」勝手に解説-「業際問題」(2) [「弁護士業界」勝手に解説]

今回は「業際問題」の第2回として、業際問題がどうして起こってきたのかという背景事情について私なりの理解をもとに解説しましょう。
前回のブログはこちら

業際問題については、現在のような深刻な状況が昔からあった訳ではなく、以前はそれぞれが自分たちの主要な職務分野の範囲内で業務を行っていました。

●司法書士業界の状況
司法書士は、不動産に関する権利設定・移転や法人の設立などの登記業務を中心にしており、司法書士法にある「裁判所若しくは検察庁に提出する書類」の作成を中心とする人はあまりいませんでした。

ところが、司法書士の業界も、弁護士ほどではないにしても司法書士試験の合格者数が増加しており、従来の登記業務中心の仕事だけでは、その増加する司法書士全員に仕事が回らない状況になってしまいました。

司法書士試験の合格者数は、平成5年ころまでは年間400名程度であったのが、その後増加に転じ、平成12年に600名を超え、平成18年以降は毎年900名を超える合格者が司法書士の業界に参加しています。

加えて、昨今の景気の悪化により、不動産取引が低迷していることや、法人の設立などは、インターネットで登記に関する情報が簡単に入手でき、法務局の登記相談も充実してきたことなどから、司法書士に依頼しなくても個人で全て手続をしてしまう人が増えており、登記業務の総量自体も減少しているので、この分野でやっていけるのは金融機関や不動産業者と強いパイプのあるごく一部の司法書士に限られてしまっているのです。

そこで、従来業務の範囲では仕事にありつけない司法書士は、平成15年4月から認められた、簡易裁判所の管轄である「訴訟の目的の価額が140万円以下」の民事事件に活路を求めるようになりました。この簡易裁判所の管轄下の事件を扱えるのは全ての司法書士ではなく、司法書士資格を持つ人の中から、「司法書士特別研修」を受講して(この研修は受講料だけだと14万5000円ですが、地方在住だと交通費宿泊費などがかかって数10万の出費になります。)最後に、法務省の実施する「簡裁訴訟代理等能力認定考査」に合格する必要がありますが(平成23年の合格率は65.9%)、多くの司法書士はこの認定を受けないと仕事にならない状況にある訳です。(結構費用がかかるので、この認定を受けていないのに業務を行っている司法書士がいるという話を聞いたこともありますが、真偽のほどは分かりません。)

そして、これに、多重債務事件のバブル的な状況が重なりました。弁護士だけでなく、認定司法書士も多重債務者の債務整理業務に積極的に取り組むようになったのです。消費者金融の債務者であれば、1社ごとの債務額は殆ど140万円以下になり、相談を受けることはほぼ自由にできるので、どんどんこの分野に進出することになり、テレビ・ラジオCMを使う司法書士まで現れるようになっているのです。

●行政書士業界の状況
一方、行政書士は、もともとは、行政書士という名前のとおり、官公署に提出する書類の作成をするのが仕事です。自動車の新規登録、廃車の手続や飲食店の開業の際の各種届け出、出入国関係の書類の作成をはじめとする行政庁の許認可を求める書類の作成が主たる仕事です。昔は、運転免許更新の際の書類作成を行政書士が代行していたこともありました。

ところが、この分野も、官公署の受付体制が充実したことで、行政書士に依頼しなくても自分で手続きできるようになり、官公署に提出する書面作成だけでは仕事にならないということで、行政書士の人たちは新たな業務の開拓に乗り出しました。そのとき、彼らの心の支えになったのが1999年から連載が始まった「カバチタレ」というコミック漫画でした。

この漫画は、行政書士事務所を舞台に、法律を駆使して社会的弱者を守るという物語で、読み物としては面白いものでしたが、弁護士の目から見ると非弁行為の疑いが極めて強い内容のものでした。しかし、一般の人たちのなかで、非弁行為が犯罪行為だという認識を持っている人はほとんどいませんので、大手出版社が発行する漫画雑誌に掲載されているということで、行政書士はこんな業務を扱う職業なのだという認識が広がっていきました。

その傾向は、一般の人たちだけでなく、行政書士本人、行政書士を目指す人たちにも意識の変化をもたらし、彼らは「街の法律家」と称して、一般の方たちの法的問題について相談に乗るようになったのです。

ちなみに行政書士資格は、行政書士試験に合格するだけでなく、20年(高校・大学卒業の場合は17年)以上公務員(または特定独立行政法人、特定地方独立行政法人)として「行政事務」に相当する事務に従事しただけでも取得できます。

行政書士試験も、最近の合格率は10%弱で、合格者数は年間5~6000人です。ちなみに、今年私の事務所で弁護修習をした司法修習生は、法科大学院の学生のときに行政法の勉強の一環として受験して合格していますし、私の事務所の事務職員も大学に在学中に合格していますので、いわゆる難関試験のレベルではありません。

ところが、このような資格であるにもかかわらず、行政書士の人たちが一般の人の法的問題に関与して報酬を得ているという実態があります。前回のブログで書いたように、他人の法律事務は法律上の例外が無い限り弁護士以外の人が「業として」扱ってはいけないことになっているにもかかわらずです。

認定司法書士でも、例外として扱えるのは140万円以下の簡易裁判所の管轄の事件だけです。ところが、行政書士の人たちは、140万円という制限もなしに、自由に他人の事件に関与しています。

そして、その業務を正当化する理由として、「事件性」「紛争性」のない案件に関与することに資格はいらないということを述べています。しかし、事件当事者が第三者に相談しなければならないということは、それだけで、何らかの紛争性があることは明らかだと思うのですが、彼らはそれでも「事件性」はないというのです。

弁護士から見れば詭弁とも思えるこんな主張がまかり通るのは、彼らの資格が前述のように行政官出身者に与えられるという強い後ろ盾があるからです。行政書士界は、役所との強いパイプがあるので、現状の非弁と言われかねない状況を打開するために、自分たちの取り扱い分野を法的に認めさせようという運動も行っていますが、上記の資格取得要件を考えると、そのような方向性を容認することはできないというのが弁護士会の立場です。
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今回も長くなってしまったのでこのくらいにしますが、次回は、業際問題によって、利用者の皆さんにどのような影響があるのかを解説したいと思います。

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