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「弁護士業界」勝手に解説-「弁護士費用のお話し」(6)最終回 [「弁護士業界」勝手に解説]

前回のタイムチャージに続いて、これも欧米の損害賠償訴訟などで行われている完全成功報酬(フルコミッション)の契約について解説いたします。

以前解説した通り、日本の報酬規程の元々の考え方は、着手金・報酬の二本立てで支払ってもらうというものでしたが、弁護士に依頼したくても着手金を支払えない人もいます。そのほかに、訴訟を行おうとすると訴状に貼る印紙代その他の手続費用もかかります。そうなると、ある程度の資力がなければ訴えを起こしたくても起こせないということになってしまいます。

ところが、損害賠償請求事件では、資力のない人でも、損害の内容によっては数百万から千万円を超える賠償が認められることもあり、そのような人が法的に救済される道を閉ざすことは相当ではありません。弁護士の側も、結果によって大きな報酬を得られる可能性があるので、このような事件を受任することは経営面でもかなりのプラスが期待できます。

特に、アメリカの損害賠償請求事件では、「懲罰的損害賠償」といって実際に被害者が被った損害を超えて、加害者側に経済的な罰を与えるという趣旨の損害賠償が認められることがあるので、訴訟によって請求が認められると、まさに一攫千金の大金が手に入ることもあります。(日本には懲罰的損害賠償制度がありませんので、アメリカと同じレベルの賠償額を取れなくても、弁護士の腕が悪い訳ではないということはご理解ください。)

懲罰的賠償制度は、被告の行為の非難されるべき度合いを考慮して、違法行為を抑止するのに充分な金額を懲罰的損害賠償の金額とするという判断基準で結論が出されるため、被告の資産も考慮に入れられます。そのため、大企業を訴えた場合には一見非常識とも思われる金額が認容されることもあるのです。

●アメリカの損害賠償請求事件~マクドナルドの事件
有名なマクドナルドの事件は、当時79歳の女性が、ドライブ・スルーで購入したコーヒーのカップを膝の間に挟んで蓋を開けようとしたときに、カップが傾いてコーヒーが彼女の膝にこぼれて重症のやけどを負ったという事件でしたが、原告の過失を2割認めたうえで、損害の填補賠償(損害によって本来賠償される金額)部分が20万ドルの8割の16万ドル、それに加えてマクドナルドのコーヒー売上高の2日間分に相当する270万ドルを懲罰的損害賠償額とする陪審員の評決が下されました。

この事件は、判事によって懲罰的賠償額が填補賠償額の3倍の48万ドルに減額され、マクドナルドが合計64万ドルの賠償金を支払う内容の判決が下され、その後の和解で、マクドナルドが60万ドル未満の和解金を支払うという内容で解決したということなので、陪審員の評決部分は最終的に認められた訳ではありません。それにしても、最終的な和解額でも日本円で数千万円を得られたのですから弁護士の報酬も相当な額になったはずです。

このような損害賠償請求が可能な事件は、アメリカの弁護士にとっては一攫千金のチャンスなので、広告をしてでも依頼を受けたいわけです。そして、その場合の依頼者に対する魅力的なオファーとして、フルコミッションの提案をします。このような損害賠償事件を積極的に受任したいと思えば、着手金だけでなく、本来依頼者が負担すべき訴訟手続の実費についても弁護士が立替えます。請求が認められなければ依頼者は一銭も払わなくて良い。その代わり、認められたときには依頼者が受け取った額の3~4割の報酬を求めるという弁護士は少なくありません。

生活に困窮している依頼者の当面の生活費まで立替える弁護士もいるという話も聞きますが、ここまで来ると、まさに一攫千金の賞金稼ぎの世界と変わらないことになります。

●マスダの考え~完全成功報酬を採用する?しない?
私の場合も、相談者の方から「完全成功報酬でやってもらえませんか。」と言われることがありますが、ほとんどはお断りします。事件の見通しとして勝てる見込みがほとんどない事件であれば、最初からタダ働きになる可能性は極めて高い訳ですから、事務所の経営を考えると、よほど社会的意義の大きな事件でなければそのような依頼を受けることはできません。

交通事故の被害者の事件で、加害者がきちんと自動車保険に入っていて、最低でも弁護士費用くらいの支払いを受けることが確実と認められる事件や、いわゆる過払い請求の事件で請求する貸金業者から確実に回収できるといった事件であれば受けることはありますが、将来的に弁護士費用の回収が確実でないのに完全成功報酬制で受任するということはおそらくないとおもいます。

●経済的に恵まれない人の弁護士費用の立替制度~法テラス
それでは、資力のない人は救済されないではないかと思われるかもしれませんが、日本には法律扶助という制度があって、経済的に恵まれない人の弁護士費用は国の費用で運営されている法テラス(日本司法支援センター)が立替払いしてくれます。扶助制度を利用した場合には、依頼者の経済状態に配慮して弁護士費用も通常の依頼の場合と比較すると低額で、立替金の返還も月に3,000円から1万円程度、依頼者の状況によっては償還猶予という制度もあるので、着手金が払えないために事件を依頼できないということはありません。

また、訴訟を起こす場合の印紙代などの実費も、訴訟救助という申立をすることで、事件が終了するまで支払いを猶予してもらうこともできます。(完全に勝訴できれば訴訟費用は被告の負担となりますので、この費用も支払わなくてよくなります。)

このように、日本の制度上は、完全成功報酬制で事件を依頼する必要があるとしてもとても限定的な場合だけなので、弁護士に事件を頼みたいけども費用が無いと心配している場合には、まずは弁護士に法律扶助が使えるかどうか相談してみるのが良いでしょう。

個人の事件を扱っているほとんどの弁護士は、法テラスの契約弁護士として法律扶助を利用できるようにしています。資力的に乏しい人は、その相談料も法テラスの方で支払ってくれるので、実質的に無料で弁護士に相談できることになっていますので、迷ったらまず弁護士に相談するという発想を持っていただけると良いと思います。

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ここまで連載して弁護士費用のお話をしてきましたが、そろそろテーマを変えて、次回は、ここ数年テレビCMなどで一般の方も知るようになった債務整理のことについて解説いたします。債務整理に関してもその実態はあまり知られていないことが多いので、弁護士のホンネの部分をお伝えしたいと思います。ご期待ください。

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